
Contents
ファクタリング
ファクタリング とは、他者が有する売掛債権を買い取って、その債権の回収代行を行う金融サービスのことを指します。 俗に買取ファクタリングとも呼ばれます。
売掛債権を売却することで、最短即日で現金の確保が可能であるため、金融機関から融資を断られた経営者に残された数少ない資金調達方法の一つであると言えます。
売掛債権とは、商品の納品やサービスの提供が完了しており、請求済みであるにもかかわらず、支払いが行われていない債権、つまり、売上金の帳簿上の未集金のことを言います。
現在、このファクタリングを騙る闇金が横行しており、中小零細企業の事業者を中心に被害が拡大しています。このような状況を受け、警察では取り締まりを強化しています。
ファクタリングは、一般的な融資とは違い、様々な特徴があることを留意しなければいけません。
ファクタリングの特徴

ファクタリングとは売掛金などの売掛債権を売却し、いち早く現金化することで、迅速な資金調達を可能にします。
売り上げは出ているけれど、実際に取引先から現金が振り込まれるのは後日であり、その後日に振り込まれる予定のお金が売掛金です。
売掛金とは
掛取引によって商品を販売した場合に代金を受領する権利(債権)のこと。
取引先が法人の場合、商品やサービスを提供して売掛金が発生していても、例えば月末締めの翌々月の末日に支払う等の取引条件により、すぐには入金されないというケースはよくあることです。
ファクタリングを利用すれば、取引先の支払期日を待たずに、事業資金を調達することが出来ます。
本来であれば、自社で売掛債権の回収を行う必要がありますが、ファクタリング会社に手数料を支払って売却することで、その債権の回収業務をファクタリング会社が代行する形(3社間ファクタリングの場合)となります。
このファクタリング取引を利用すれば、会社のキャッシュフローや資金ニーズに応じて、債権を売却することで、売却代金を受け取ることが可能です。
ファクタリングは、銀行融資などに頼らない新たな資金調達方法として、国(経済産業省)も推奨しているサービスです。
そのため、企業が資金調達をする際に、限られた選択肢の一つとしてファクタリングを利用する意義は大いにあると言えます。
しかし、その企業ニーズに着目して、違法な取引を行う実質的なヤミ金業者も数多く介在していることもまた事実です。
ファクタリングサービスを利用する場合は、怪しい業者は避けて正規の業者を利用することが大前提となります。
ファクタリングと銀行融資の違い

本来、ファクタリング取引は、銀行からお金を借りる銀行融資とは異なり、資産(売掛代金)の売却であり、回収予定より前に資金化することを目的とした取引です。
そのため、銀行融資のような債務を負う形の取引ではありません。
通常、企業が銀行から融資を受ける為には審査が必要です。
審査時には、会社の業績や財務内容をはじめ、資金繰り表や決算書、事業計画書などの提出や、融資を受ける理由や必要性を用意しておく必要があります。
また、融資を受けるには、審査に時間がかかるため、申し込んでから融資を受けるには1ヶ月前後の期間を要すことになります。
しかし、ファクタリングでは、このような書類や融資の必要性に関する説明を行う必要はありません。
前述の通り、ファクタリングは、売掛金の売却であるため、一般的な融資とは異なります。あくまでも、借入金には該当しません。
このように融資ではないため、売掛金を用意することさえできれば、審査は必要ないということになります。
また、銀行融資のように担保、保証人などは必要ありません。
そのため、業者によっては最短即日で、通常でも数日後には現金を受け取ることが出来るのです。
ファクタリングは、償還請求権がない形(ノンリコース)で債権譲渡を行うため、貸借対照表上での負債にはなりません。
そのため、売掛債権のオフバランス化、及び、バランスシートのスリム化を図ることも可能となります。
ノンリコースファクタリングは、売掛金を買い取ったファクタリング会社が売掛金に係わるリスクを全て引き受けるため、万一、売掛金が決済されない場合でも企業に負担はないとされています。
しかし、近年散見されるファクタリングは、融資や貸金と同じ意味で使用されるケースが増えており、それに伴う被害も増加しています。
ファクタリングの取引額
取引額の範囲は、ファクタリング会社によって大きく異なります。
数十万円から、数億円という高額な取引を行う業者も存在します。
ファクタリング会社の中には、売掛債権1件あたりの債権金額が、300万円(税込み)以上からなど、取引額の下限を設けているところもあります。
ファクタリングの手数料
手数料については、取引内容や、売掛金の状況等の他、ファクタリング会社によって異なりますが、基本的に売掛金の3%~20%前後が一般的であるとされています。
しかし、実際には、後になって高額な手数料で契約していることが分かったというケースもあり、売掛債権の50%、さらに悪質な場合は90%という手数料を取られていたという事例もあるようです。
一般的に、二社間の場合と三社間の場合で、手数料の額は異なるようです。
手数料の相場については、下表の通りです。
取引形態 | 手数料 |
---|---|
二社間 | 10%〜30% |
三社間 | 1%〜5% |
一般的に、ファクタリングの手数料は、債権譲渡登記の有無や、売掛先企業の信用度などによって設定されます。
銀行融資等に比べて、手続きが比較的簡便で、早期に資金調達できることから、手数料は割高となる傾向があるようです。
また、ファクタリング会社が売掛先企業の倒産リスクや回収リスクを背負うことを理由に、高く設定されています。
ファクタリングは、貸金業者とは異なるため、利息制限法や貸金業法、出資法などの適用を受けません。また、金融庁の監督下にもありません。
しかし、ファクタリング会社が得る手数料・保証金を金利に換算した場合、利息制限法や出資法の範囲を超える法外なものとなる場合があります。
そのため、一部のファクタリング会社は、実質的なヤミ金であると考えられています。
事実、今年1月には、大阪府警が貸金業法違反容疑で、ファクタリングを装ったヤミ金業者を全国で初めて摘発しています。
当然、ヤミ金には該当しない、本来の意味でのファクタリング会社も数多く存在します。
ファクタリングを騙る闇金業者

本来、ファクタリング業務は、主としてリース会社による、企業への資金繰り支援を目的とした金融取引でした。
しかし、現在では、実態は貸金業であるにも関わらず、ファクタリングを騙る業者(偽装ファクタリング業者)が蔓延っているのが現状です。
つまり、ファクタリング会社の多くは、貸金業者とほとんど同じ業態であるにも係わらず、貸金業法などの規制を受けないことを良いことに、公序良俗に反する高額な手数料・保証金を取る悪質業者だと言えるのです。
貸金業法や出資法に違反して、法外な金利(名目上は手数料)で貸し付けを行うという点では、ヤミ金業者となんら違いはありません。
ファクタリング取引を、長期間に渡って行ってきた会社の財務状況は、悪化の一途を辿り、多重債務者と同じ状態に陥ることになります。
この点については、まさにヤミ金と同質の問題であると言えます。
ファクタリング業務に関しては、貸金業とは異なるため、貸金業登録や特別な資格を有する必要はありません。
そのため、正規のファクタリング業者とファクタリングを騙る闇金業者との違いを見極めることは非常に難しいと言えます。
現在、複数のファクタリングを名乗る業者と取引していて、日々、資金繰りに追われていたり、ファクタリング借り換えの度に、多額の保証金を取られている場合は、ファクタリング問題に強い法律の専門家に相談することをおすすめします。
ファクタリングは貸金業ではないため、債務整理などの借金減額方法とは全くの別物であることを理解しておかなければいけません。
そのため、ファクタリング問題に関しては、過払いや債務整理に強い弁護士・司法書士に相談しても、適切な対処を行ってもらえない場合がほとんどです。
そればかりか、ノウハウを持たない弁護士・司法書士が介入したことで、重要取引先にファクタリング業者から債権譲渡通知書を送付され、経営破たんに陥るなど、逆効果となるケースも報告されています。
ファクタリング問題に関する相談・依頼は、専門の法律家に行うことが望ましいと言えます。
また、ファクタリング会社を装うヤミ金に対して払い過ぎた手数料を取り返すことが出来ます。
