不法原因給付(民法第708条)について

不法原因給付 (民法第708条)

不法原因給付

不法原因給付 (ふほうげんいんきゅうふ)とは、 不法な原因に基づいて行われた給付のこと指します。

「ヤミ金の貸付は不法原因給付であるため、返済する必要はない」という話を耳にしたことがある方もいるかもしれませんが、このページでは、その根拠となる「不法原因給付(民法第708条)」について少し掘り下げてみようと思います。



不法原因給付の概要(第708条)

不法原因給付とは、その名前の通り、不法な原因に基づいてなされた給付のことを言います。

日本の民法においては民法第708条に規定されています。

第708条

不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、不法な原因が受益者についてのみ存したときは、この限りでない。

「不法」とは公序良俗に反する場合を指します。


公序良俗とは、公の秩序又は善良の風俗の略語です。この公序良俗に反する行為は無効となります。闇金が行う貸し付けや取り立ては、この公序良俗に反する行為であると言えます。

ヤミ金融の貸付は、出資法に違反する利息を収受することを目的とした犯罪行為であり、公序良俗に違反するため、不法な原因のためにされた給付であると考えることが出来ます。

つまり、ヤミ金融は出資法違反の利息を請求することができません。そしてまた、元金の返還請求をすることさえもできないのです。

もし仮に、これが認められると反社会的な行為を行った者に対して、裁判所が救済の手を差し延べ、これを保護する形となるからです。


これと同じ趣旨の法格言としては、イギリス法における裁判所は不法な請求には関与しないというクリーン・ハンズの原則(法廷に出てくる者は「きれいな手」でなければならない)が有名です。


このように、ヤミ金融からお金を借りていた場合、そのお金を返済する義務はありません。

さらに、闇金融に対して以前に返済していたお金は不当利得であるため、返還請求をすることが出来ます。


不当利得とは、正当な理由 (法律上の原因) なしに他人の財産によって財産的利益 (利得) を受け、これによって他人に損失を及ぼすことを言います。ヤミ金行う違法な貸付は、この不当利得に該当します。

ただし、借主の方が返済しないという旨を相手方に主張しても、闇金融は実際に借りた額とは異なる公正証書借用証書を作成して請求してくることがあります。

そのため、闇金融への対応は、法律知識に長けた専門家に相談することが最善であると言えます。

素人では、法的に適切な対処を取ることが出来ない場面も出てきますが、ヤミ金問題を専門に扱う弁護士・司法書士であれば、ベストな善後策を講じることが可能となります。


ヤミ金への返済は、原則一切不要です。

しかし、最初から返さないつもりで、ヤミ金からお金を借りた場合は、借主側も詐欺に問われる場合があるため注意が必要です。


シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

トップへ戻る