貸金業法について

貸金業法

貸金業法

貸金業法 とは、融資を行なう貸金業者や貸金業者からの借入れについて定められている法律です。

旧称は「貸金業の規制等に関する法律(貸金業規制法)」でしたが、2006年(平成18年)の改正に伴い現在の名称が用いられるようになりました。

近年では、2010年6月18日に改正貸金業法が完全施行されています。



貸金業法(平成15年改正)の概要

ヤミ金融を取り締まることを目的に、2003年(平成15年)8月1日、規制を強化した改正法(通称「ヤミ金融対策法」)が成立し、2004年(平成16年)1月1日に施行されました。

  1. 貸金業登録制度の強化
  2. 罰則の大幅な引上げ
  3. 違法な広告、勧誘行為の規制
  4. 違法な取立行為の規制強化
  5. 年109.5%を超える利息での貸付契約の無効化

貸金業登録制度の強化

貸金業登録の審査時に、申請者等の本人確認が義務化されました。

  • 人的要件(暴力団員の排除など)の強化
  • 財産的要件の追加
  • 各営業店へ主任者を設置することの義務付け

など、さらに厳格な登録審査を行うこととなりました。


罰則の大幅な引上げ

高金利貸付け、無登録営業を行う闇金業者に関する罰則が大幅に引き上げられました。

また、高金利を要求する行為そのものも罰則の対象となりました。

高金利違反(出資法)10年以下の懲役、3,000万円(法人の場合1億円)以下の罰金(※)
無登録営業10年以下の懲役、3,000万円(法人の場合1億円)以下の罰金
不正手段による登録
名義貸し

(※)出資法で定める貸金業者の上限金利を超える利息の貸付契約を行った場合


出資法とは、「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」の通称です。出資法は、貸金業者などを規制することを目的として出資金の受け入れを制限し、浮き貸し・高金利などを取り締まる法律です。ヤミ金融は、この出資法の定める上限金利を遥かに超える高い金利を取って貸付を行っています。

違法な広告、勧誘行為の規制

無登録業者の広告、勧誘行為について罰則が適用されるようになりました。

罰則の新設100万円以下の罰金

違法な取立行為の規制強化

正当な理由を欠いた夜間の取立てや、勤務先等居宅以外への電話や訪問、第三者への弁済の要求などに該当する取立行為は行ってはいけません。

これらの具体例について、法律で明確にされるとともに、罰則も引き上げられました。

もちろん無登録業者(ヤミ金融)の行為も罰則の対象となります。

罰則の引上げ2年以下の懲役、3百万円以下の罰金

年109.5%を超える利息での貸付契約の無効化

登録業者・無登録業者を問わず年109.5%を超える利息での貸付契約を行った場合は、当該契約は無効であり、利息については一切支払う必要がありません。


貸金業法(平成18年改正)の概要

2006年(平成18年)12月13日に成立、同月20日に公布され、2007年(平成19年)12月19日に施行されました。

主な内容としては、総量規制が導入され、総借入残高が年収の3分の1を超える貸付けは禁止されることになりました。

また、それまで29.2%だった出資法の上限金利が引き下げられ、利息制限法の上限金利(20%~15%)と同じ利率になりました。これにより、それまで存在していたグレーゾーン金利は撤廃されることになりました。

その他にも、信用情報機関を指定する制度が導入されたことにより、貸金業者が借り手の信用取引に関する契約内容や返済・支払状況・利用残高など取引事実の全てを把握できるようになりました。


平成18年改正の貸金業法には、ヤミ金融に対する罰則の強化も盛り込まれています。

  • 貸金業の適正化
    1. 貸金業への参入条件の厳格化
    2. 貸金業協会の自主規制機能強化
    3. 行為規制の強化
    4. 業務改善命令の導入
  • 過剰貸付の抑制
    1. 指定信用情報機関制度の創設
    2. 総量規制の導入
  • 金利体系の適正化
    1. 上限金利の引下げ
    2. 金利の概念
    3. 日賦貸金業者及び電話担保金融の特例の廃止
  • ヤミ金融対策の強化

ヤミ金融対策の強化

ヤミ金融に対する罰則最高刑を、懲役5年から懲役10年に強化されることになりました。

※超高金利(109.5%超)の貸付けや無登録営業などを行う違法化資金業者が対象となります。


貸金業の定義(貸金業法第2条第1項)

貸金業法において「貸金業」とは、金銭の貸付け又は金銭の貸借の媒介(手形の割引、売渡担保等の金銭の交付・授受)を業として行うもののことをいいます。

この場合、業として行うとは、反復継続の意思をもって行うことであり、また、報酬・不特定多数である必要はありません。


ただし、次の場合を除きます。


  • 一 国又は地方公共団体が行うもの
  • 二 貸付けを業として行うにつき他の法律に特別の規定のある者が行うもの
  • 三 物品の売買、運送、保管又は売買の媒介を業とする者がその取引に付随して行うもの
  • 四 事業者がその従業者に対して行うもの
  • 五 前各号に掲げるもののほか、資金需要者等の利益を損なうおそれがないと認められる貸付けを行う者で政令で定めるものが行うもの

登録(貸金業法第3条)

貸金業を営む者は、2以上の都道府県に営業所又は事務所を設置してその事業を営もうとする場合は内閣総理大臣の登録を受けなければなりません。

1つの都道府県にのみ営業所又は事務所を設置してその事業を営もうとする場合は、所在地を管轄する都道府県知事の登録を受けなければなりません。


誇大広告の禁止等(貸金業法第16条第1項)

貸金業者は、その貸金業の業務に関して広告をするときは、貸付けの利率その他の貸付けについて、著しく事実に相違する表示若しくは説明をし、又は実際のものよりも著しく有利であると人を誤認させるような表示若しくは説明をしてはならないとされています。


違法取立の禁止(貸金業法第21条第1項)

貸金業法21条1項により、債権の取立てをするにあたって、人を威迫し、私生活や業務の平穏を害するような言動をしてはならないとされています。

これに違反するような取立行為をした場合は、2年以下の懲役若しくは300万以下の罰金の刑に科せられることとなります。

無登録業者であるヤミ金業者であっても、この取り立て行為の規制は及びます。


取立て行為の規制
正当な理由がないのに、社会通念に照らし不適当と認められる時間帯として内閣府令で定める時間帯に、債務者等に電話をかけ、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は債務者等の居宅を訪問すること。
債務者等が弁済し、又は連絡し、若しくは連絡を受ける時期を申し出た場合において、その申出が社会通念に照らし相当であると認められないことその他の正当な理由がないのに、前号に規定する内閣府令で定める時間帯以外の時間帯に、債務者等に電話をかけ、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は債務者等の居宅を訪問すること。
正当な理由がないのに、債務者等の勤務先その他の居宅以外の場所に電話をかけ、電報を送達し、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は債務者等の勤務先その他の居宅以外の場所を訪問すること。
債務者等の居宅又は勤務先その他の債務者等を訪問した場所において、債務者等から当該場所から退去すべき旨の意思を示されたにもかかわらず、当該場所から退去しないこと。
はり紙、立看板その他何らの方法をもつてするを問わず、債務者の借入れに関する事実その他債務者等の私生活に関する事実を債務者等以外の者に明らかにすること。
債務者等に対し、債務者等以外の者からの金銭の借入れその他これに類する方法により貸付けの契約に基づく債務の弁済資金を調達することを要求すること。
債務者等以外の者に対し、債務者等に代わつて債務を弁済することを要求すること。
債務者等以外の者が債務者等の居所又は連絡先を知らせることその他の債権の取立てに協力することを拒否している場合において、更に債権の取立てに協力することを要求すること。
債務者等が、貸付けの契約に基づく債権に係る債務の処理を弁護士若しくは弁護士法人若しくは司法書士若しくは司法書士法 人(以下この号において「弁護士等」という。)に委託し、又はその処理のため必要な裁判所における民事事件に関する手続をとり、弁護士等又は裁判所から書面によりその旨の通知があつた場合において、正当な理由がないのに、債務者等に対し、電話をかけ、電報を送達し、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は訪問する方法により、当該債務を弁済することを要求し、これに対し債務者等から直接要求しないよう求められたにもかかわらず、更にこれらの方法で当該債務を弁済することを要求すること。
債務者等に対し、前各号(第六号を除く。)のいずれかに掲げる言動をすることを告げること。

社会通念に照らし不適当と認められる時間帯として内閣府令で定める時間帯とは、午後9時から午前8時までとされています。


無登録営業罪(貸金業法第47条 11条1項)

貸金業を営むためには貸金業登録をしなければいけません。これを遵守していない場合は、貸金業法47条・11条等に違反することになるため、10年以下の懲役若しくは3000万円以下の罰金、又はこれを併科されます。

近年では貸金業の登録が厳格になっていることもあり、無登録の業者が増えています。

ただし、正規に貸金業登録を行っている業者の名称用いて、貸付を行う詐称業者も数多く存在します。


改正貸金業法が施行されたことによる影響

平成15年および平成18年の改正により消費者の保護が図られることになりました。

しかし、その一方で総量規制(年収の3分の1を超える貸付け禁止)などが導入されたことにより、貸付条件が厳しくなりました。

これは、それまで消費者金融などの正規貸金業者で借りることが出来ていた人達にとって、借入れ先が無くなったことを意味します。その結果、ヤミ金を利用するケースが増える要因になったと言われています。

そして、ヤミ金融は形を変え、ソフト闇金リース金融など新手の違法金融業者が台頭することになりました。その背景にあるのは、やはり貸金業法の改正だと指摘されています。

また、中小自営業者がジャンプを繰り返すなど、企業の資金繰りが難しくなったことで、景気衰退を招いたという批判もあります。

貸金業法の改正は消費者保護を目的としていますが、その半面、社会にとってマイナスの影響を及ぼしているという事実が存在します。そのため、貸金業法を再度改正する必要があるという意見も根強くあるようです。


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