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給料ファクタリングとは
給料ファクタリング (給与ファクタリング)とは、利用者の給料債権を業者を通じて現金化することで、実質的な給料の前借りを行うことができるサービスです。
これまでは、借入(借金)に頼らない資金調達方法として提供・利用されていました。
しかし、2020年3月に金融庁は、「給料ファクタリングは貸金にあたる」との見解を示しました。
また、同月、東京地方裁判所は、「給料ファクタリングはヤミ金である」との判決を下しました。
東京地方裁判所は、令和2年3月24日給与ファクタリング2件について、貸金業法、出資法違反で契約は無効、刑事罰の対象となる判決を言い渡した。
出資法5条3項違反で業者の不法原因給付、及びヤミ金であると認定
出典:日本ファクタリング協会
これにより、現在では違法な貸金業であるとの認識が一般的なものとなっています。
つまり、給料ファクタリングサービスを提供する業者は、ヤミ金であると判断されるということになります。
このページでは、給料ファクタリングの仕組みや危険性について分かりやすく説明をしています。
ファクタリングとは

ファクタリングは、そもそも法人企業・事業者向けに提供されるサービスです。
企業が取引先に対して保有している売掛債権(売掛金)をファクタリング会社(ファクター)が買い取り、買い取った債権の管理・回収を自社で行うという金融業務です。
ファクタリングは、融資ではなく売買契約に基づく指名債権の譲渡であるため、負債として処理されることなく資金調達を可能にできる点がメリットであると言われています。
あくまでも、売買契約に基づく指名債権の譲渡であり、金銭の貸し借りではないので、ファクタリング業者は貸金業の登録は必要ありません。
貸金とファクタリングの違い
貸金とは、文字通りお金を貸して利息制限法に基づき利息を受け取り、営業を行うこと。貸金業法に定める取引であり、「不動産担保融資」「動産担保融資」「債権担保融資」などがある。
ファクタリング(債権の売買)は、民法第555条「売買」並びに投資事業有限責任組合契約第3条4項の「事業者に対する金銭債権の取得」に規定される取引。
しかしながら、近年、「ファクタリング」を装って、実際には、高金利で金銭を貸し付ける事例が問題視されるようになりました。
このような業者は、従来のファクタリングとは区別されており、「偽装ファクタリング」と呼ばれています。
給料ファクタリングは、法人向けの偽装ファクタリングを個人向けに流用したものだと考えることが出来ます。
給料ファクタリングの仕組み

給料ファクタリングは、基本的に法人向けの「2社間ファクタリング」と同じ手順で行われますが、売掛金の売却ではなく「賃金債権・給料債権」を取引することになります。
そのため、給与所得者(サラリーマン・パート・アルバイトなど)が主なターゲットであるとされています。
給料ファクタリングの仕組みについては以下の通りです。

- 給料ファクタリングを提供する業者は、給料の前払いをうたい文句に利用者を募ります。
- 利用者は、WEBサイト・ホームページなどから申し込みを行います。
- 業者は、利用者が給料を受け取る権利(賃金債権・給料債権)の一部を給料日前に額面よりも安く売却するように提案します。
- 利用者は、業者から手数料などを引いた額の現金を受け取ります。
- 給料日後に利用者は、額面通りの現金を業者に支払います。
給料日よりも前に現金を手にすることが出来るので、「給料の前借り」と同様の効果があります。
ただし、勤務先から給料を得るよりも、実際に手にする金額が目減りすることを理解しておかなければいけません。
取引時に生じる差額が業者の利益になるわけですが、この差額を利息として金利に換算した場合、法定金利を大きく超える超高金利になるケースがほとんどです。
つまり、ヤミ金と同様に暴利を得ることを目的にしているのです。
業者は、「賃金債権(給料債権)の売買契約(現金化)であり貸し付けには当たらない」と主張していますが、実際には、賃金債権(給料債権)を担保にした金銭貸借(貸し付け)に他なりません。
なぜなら、契約時に、金銭の交付と返還の約束が行われていることがその理由に挙げられます。
つまり、ファクタリングというサービスを悪用した違法な貸金業者であると考えられます。
貸金業者が貸金業を営むに場合、貸金業登録が必要になります。登録を受けていない貸金業者は、ヤミ金です。
また、貸金業者が利息を得る場合は、利息制限法、出資法などの法律を守る必要があります。
利息制限法の上限金利
- 元本の金額が10万円未満の場合 → 年20.0%
- 元本の金額が10万円以上~100万円未満の場合 → 年18.0%
- 元本の金額が100万円以上の場合 → 年15.0%
出資法の上限金利(貸金業者の場合)
年20.0%
※違反した場合は刑事罰の対象となる。
給料ファクタリングの手数料の相場は、利用額の20.0%~30.0%が多いようです。
この手数料(月利と考えた場合)を年利に換算すると、年240.0%~360.0%となり、闇金と同等の高金利になります。
利用者の方は、利用額の20.0%~30.0%を手数料として支払うだけだと思うかもしれませんが、実際には法定金利を大きく超える違法金利なのです。
出資法、利息制限法に定める年20.0%を超える場合は、公序良俗(民法90条)により倫理に反することになるため、当該契約は無効となります。
本来、給与は、労働債権なのでファクタリングの対象にはなりません。労働基準法で債権譲渡は認められていません。
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給料ファクタリング利用者の被害としては以下のような事例があります。
事例1
3万円を借り、翌月15日の支払いで45,000円を支払いました。また、ネットから申込みをしたため契約書が一切ありません。
解説
手数料を金利に換算した場合、出資法、利息制限法で定める上限金利年20%を超過した年400%になるため違法です。
また、契約書面がないことにより、特定商取引法に抵触します。
事例2
給与ファクタリングで、10万円を借り、翌月15日の15万円を支払う契約を結びました。しかし、支払えず3月19日返済しました。4日間遅れたら、5万円の遅延損害金を請求されています。
解説
手数料を金利に換算した場合、出資法、利息制限法で定める上限金利年20%を超過した年600%になるため違法です。
また、遅延損害金の金利についても利息制限法の定めを守る必要があるため、このような高額な遅延損害金は無効です。
給料ファクタリングに対する東京地方裁判所判決
給与ファクタリング業者は、利用者(債務者)に対して以下のような訴訟を起こしました。
給与ファクタリング業者(原告)が、債務者(被告)に対し、7万円の債権を4万円で買取り、4日後に支払う契約で買戻し日の設定がなされ債務者が支払いを怠ったことにより、業者が債務者に対し支払いを求める訴訟を提起した。
東京地方裁判所 2.3.24
東京地裁は、この訴訟に対して、契約は無効であるとともに刑事罰の対象となる判決を言い渡しました。
令和2年3月24日、東京地方裁判所は、ファクタリング業者に対して『債権譲渡代金の交付は、「手形の割引、売渡担保その他これらに類する方法」による金銭の交付であり、貸金業法や出資法にいう「貸付け」に該当する。』との見解を示しました。
また、ファクタリング業者は『業として「貸付け」に該当する給与ファクタリングを行うものであるから、貸金業法にいう貸金業を営む者に当たる。』と判断しました。
さらに、『本件取引について、年1840%を超える割合による利息の契約をしたことが認められる。これは、貸金業法42条1項の定める年109.5%を大幅に超過するから、本件取引は同項により無効であると共に、出資法5条3項に違反し、刑事罰の対象となるものである。』と判断しています。
以上を踏まえ、東京地裁は、当該契約は無効であるとの判決を下しました。また、貸金業法、出資法違反で刑事罰の対象であるとの判決を言い渡しました。
金融庁の見解
金融庁は、令和2年3月5日、給与ファクタリングを貸金業であると認定しました。以下は、その内容をまとめたものです。
個人(労働者)が使用者(雇用主)に対して保有している賃金債権について、労働者が賃金の支払を受ける前にそれを他に譲渡した場合においても、その支払については労働基準法第 24 条第1項が適用され、使用者は直接労働者に対し賃金を支払わなければならない。
したがって、その賃金債権の譲受人(業者)は自ら使用者に対してその支払を求めることは許されない。
個人(労働者)が使用者に対して有する賃金債権を買い取って金銭を交付し、当該個人を通じて当該債権に係る資金の回収を行うこと(給料ファクタリング)は、いかなる場合であっても賃金債権の譲受人が自ら使用者に対してその支払を求めることはできない。
給料ファクタリングにおいては、賃金債権の譲受人から労働者への金銭の交付だけでなく、賃金債権の譲受人による労働者からの資金の回収を含めた資金移転のシステムが構築されているということができる。
給料ファクタリングは、経済的に貸付けと同様の機能を有しているものと考えられる。
貸金業法(昭和 58 年法律第 32 号)第2条第1項の「手形の割引、売渡担保その他これらに類する方法」に該当すると考えられる。
したがって、給料ファクタリングを業として行うものは、同項の「貸金業」に該当すると考えられる。
分かりやすく言えば、給料を受け取る権利は、労働者本人にしか認められていないということです。
たとえ第三者が譲り受けた場合でも、労働者本人に代わって雇用主に給料の支払いを求めることは出来ません。
そして、給料ファクタリングは、金銭の交付と返還がセットになっているので、実質的な貸し付けであると考えることが出来ます。
つまり、給料ファクタリングを提供する業者が貸金業登録を行っていない場合はヤミ金融であると考えることが出来ます。
給料ファクタリングを提供する業者は、あくまでも給料債権の売買契約であると主張していますが、債権を担保にした金銭の貸し付けという見方が正しいようです。
給与ファクタリングの手口

勧誘
「会社に内緒で給料を現金化」「給料の前借り」「消費者金融で断られた方でもOK」「ブラックOK」「簡単・スピーディー」「低金利」「即日融資」などのフレーズを使用して勧誘を行うのが闇金の常套手段です。
また、基本的に、多重債務者や破産者、返済に困っている人をターゲットにしています。
勧誘は、主に電話、チラシ、DM(ダイレクトメール)で行います。近年では、ネット広告やSNSなどを使用している場合もあります。
首都圏の違法業者が地方の利用者に対して勧誘を行っているケースが多いようです。地方においても違法な高金利・厳しい取り立ての被害が多発しています。
利用者の個人情報は、申込業者や関連業者、名簿屋と呼ばれる業者などを通じて売買されることもあるため注意が必要です。
契約時
貸付金額は、3万円から5万円などが多く、小口融資である場合が一般的です。
「小口なのですぐに返済できるだろう」という利用者の心理を突いています。
しかし、違法な高金利のため、たとえ短期間の延滞であっても利息は雪だるま式に膨れ上がります。
また、延滞した場合は、遅延損害金を請求して来る業者も存在します。
返済期間は、次の給料日までと比較的短期間である場合が一般的です。
違法な高金利の利息などを短期間に返済請求されることになるので、給料が入った後も経済的に厳しい状況は変わらないということも少なくありません。
そのため、再び違法な貸金業者から借り入れを繰り返すはめになる場合もあります。
エスカレートした場合は、複数の違法業者を利用して取り返しのつかない泥沼にはまってしまうこともあります。
安易な気持ちで利用してしまうと、思いもよらないトラブルに巻き込まれることもあるため注意が必要です。
取り立て
利用者が支払期日までに給料ファクタリング業者に対して支払いを行わなかった場合は、取り立てを開始するケースも報告されています。
まずは、電話で本人に支払いの催促を行います。
それでも支払いが行われない場合は、自宅に訪問する、勤務先に連絡するなどの行為にエスカレートする場合があります。
勤務先への連絡は、最悪の場合、仕事を失うこともあるため注意しなければいけません。
まとめ
ヤミ金業者は、法律の抜け穴を探して様々な方法で利用者を食い物にしようと考えています。
時代に合わせて形態を変え、奸計をめぐらし、あらゆる手段で金銭を搾取しようと策動しています。
金融庁の見解や東京地裁の判決からも分かる通り、給料ファクタリングを自称する業者もまた「ファクタリング」を装ったヤミ金融です。
彼らは、取りっぱぐれることがないように給与所得者の定期給与を狙います。
「給料日までお金がない」「残業代が減って生活が苦しい」「消費者金融では借りられない」という人は、特にヤミ金の甘い言葉に注意してください。
もちろん、初めから利用しないことが一番ですが、人生にはお金の問題でつまずくこともあるものです。
万が一、利用してしまった場合は法律の専門家に相談・依頼することが解決への近道です。
既に高額な金銭を支払ってしまった場合でも、過払い金の返還を求めて取り返すことも可能です。
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