闇金から借りたお金の返済義務について

闇金 返済義務

闇金への返済義務

返済義務 とは、借りたお金や物品などを元の所有者に返す責務があることを指す表現です。

一般的な金銭消費貸借契約の場合、借り入れをしたお金は返還債務であるため、借主(借りた側)は貸主(貸した側)に対して返済義務を負います。

支払期日までに、契約に基づいた債務の返済ができなかなった場合(債務不履行)は、損害賠償として遅延損害金を支払うことになります。


本来、自分の意思で借りたお金は、返せないからといって開きなおって良いものではありません。

法律を持ち出すまでもなく、「借りたものはきちんと返す」という考え方は、誰もが常識として持つべき当たり前の共通認識であるべきだと言えます。

なので、利息が高くて返済が難しい場合は、任意整理などで支払利息の見直しを行い、債務負担を減らすように返済計画を立て直す必要性が出てきます。


債務整理 とは、借金の減額手続きや支払い猶予を持たせたりすることで、借金の負担を軽減することが出来る手続きのことです。借金の整理を行う手段としては、主に任意整理、自己破産、個人再生などがあります。今や世間的に一般的になった債務整理ですが、はたして闇金にも対応しているのでしょうか?

しかし、このような常識は、消費者金融、銀行などのカードローンや、クレジットカードでキャッシングを利用した場合に語られる話です。


では、違法貸金業である闇金から借りたお金にも返済義務は生じるのでしょうか?

このページでは、消費者金融などの正規貸金業者から借り入れをしたケースと比較することで、その全貌を明らかにしていきます。



金銭消費貸借契約について

消費者金融や銀行カードローンなどでお金を借りる場合は、金銭消費貸借契約を交わす必要があります。

金銭消費貸借契約とは、どういった契約のことを指すのでしょうか?


まずは、消費貸借契約について理解しておきましょう。


消費貸借契約とは

民法では、消費貸借契約について定めています。


民法第587条 消費貸借契約

消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる。


つまり、消費貸借契約とは、「種類、品質及び数量の同じ物」を返還することを約束して、相手方から金銭やその他の物を受け取ることによって成立する契約のことを言います。

簡単に説明すると、モノ(動産)を借りた場合は、同等程度のモノ、もしくはそれに相当するお金を返さなくてはいけないということです。


貸主の義務

消費貸借契約における貸主の義務は、借主に目的物を貸す行為を指します。

契約時に、借主に対して目的物を貸している場合は、既にその義務を履行していると言えます。


借主の義務

借主の義務は、貸主から借りた目的物を返還する行為を指します。

きちんと借主に目的物を返していれば、その義務を果たしていると判断されます。


これは、私達が現実社会で生活を送る上での貸し借りのことを指す言葉であり、広く一般に浸透している社会通念です。

「モノを借りたら必ず返す。」という約束を守らないと、社会秩序の崩壊に繋がります。

そのため、世間一般では、このルールに従って日常生活を営むことが義務付けられます。


貸し借りするお金のことを、金銭債権と言います。


金銭債権とは

民法では、金銭債権(貸付金等などの金銭の給付を目的とする債権)に関する規定についても定めています。


民法第402条 金銭債権

  1. 債権の目的物が金銭であるときは、債務者は、その選択に従い、各種の通貨で弁済をすることができる。ただし、特定の種類の通貨の給付を債権の目的としたときは、この限りでない。
  2. 債権の目的物である特定の種類の通貨が弁済期に強制通用の効力を失っているときは、債務者は、他の通貨で弁済をしなければならない。
  3. 前二項の規定は、外国の通貨の給付を債権の目的とした場合について準用する。

民法第402条1項の「各種の通貨で弁済をすることができる」とは、千円紙幣、五千円紙幣、一万円紙幣など、どの種類の通貨(紙幣)で返済をしてもよいということです。

ちなみに、「弁済」とは、債務の給付を実現すること。つまり、借りたお金を返すことを意味する法律用語です。


「特定の種類の通貨の給付を債権の目的としたとき」とは、返済する際のお金を、特定の通貨(紙幣)で支払うとはじめに約束した場合のことを指します。

たとえば、契約時に”全額を一万円紙幣で支払う”といった取り決めをした場合は、その契約に従って全て1万円で返済しなければいけません。


金銭債権は、債権者である貸主側の呼び方です。債務者である借主にとっては金銭債務になります。


金銭消費貸借契約とは

金銭消費貸借契約とは、消費貸借契約における対象物が金銭債権である場合の契約を指します。金消契約、ローン契約などと呼ばれることもあります。

つまり、将来の弁済を約束した上で、金銭を消費するために借り入れをする際に貸主と締結する契約のことです。


貸主である消費者金融や金融機関が提供しているカードローンや、クレジット会社が発行するクレジットカードのキャッシング機能を利用した借入れなどが、この金銭消費貸借契約に該当します。


金銭消費貸借契約を結ぶ際は、金銭消費貸借契約書もしくは借用書を作成する場合が一般的です。

金銭消費貸借契約書や借用証書は、契約の存在を確認・証明し、後々のトラブルを未然に防ぐことを目的に作成されます。


金銭消費貸借契約書

金銭消費貸借契約書は、金銭消費貸借契約時にのみ交わされる契約書です。

消費者金融や金融機関などの企業と取引をする際に、利用される場合が多いようです。

消費する金銭のみが対象となるため、車や道具などのモノを貸し借りする際は適用外となります。


「金銭消費貸借契約書」は、貸主と借主が所有することを想定し2通作成します。

貸主・借主の双方が書面の内容を確認した後、署名押印し、各1通ずつをそれぞれが保管することになります。

法的効力はありませんが、裁判になった場合には証拠となるため、正規の貸金業者から借り入れをする際は作成するケースが一般的です。


「金銭消費貸借契約書」は、公証役場で公正証書化することで、金銭債務の強制執行が可能になります。(債務名義になる)


借用書

借用書は、金銭消費貸借契約だけでなく、モノ(動産)を貸し借りする際にも交わされる契約書です。

もちろん、お金の貸し借りをする際にも利用されますが、用途の幅が広い点が特徴です。

人によっては、「金銭消費貸借契約書」のことを「借用書」と呼ぶ場合もあります。


個人間でのお金の貸し借りで使用される場合が多いようです。


借用書は、貸主側が契約の性質、債務の履行方法などといったルールを書き入れるケースが一般的です。

通常、原本は貸主が保管し、借主にはコピーが渡されます。


金銭消費貸借契約書借用書
利用される場面個人間での貸し借り貸金業者・金融機関との取引
作成方法貸主と借主が共同で2通作成貸主が作成
保管方法原本を貸主、借主それぞれが保管貸主が原本を保管、借主はそのコピーを保管
用途金銭消費貸借契約のみに限られる消費賃借契約に関する内容全般(金銭だけでなくモノも対象)
特徴改ざんのリスクを回避できる作成の手間や時間が節約できる

法的効力の観点から見れば、どちらも大きな違いはありません。

しかし、お金を貸し借りする際には、必ず利用される重要な書類です。


このような契約書を作成する理由は、はじめに説明した通り、借金には返済義務があるからです。

契約を交わした相手が約束を守らず、返済義務を果たさなかった場合のことを債務不履行と言います。

債務不履行に陥った場合は、国による強制執行(差押さえ)の対象になったり、損害賠償請求をされることがあります。


最近の闇金は、直接対面する従来型の貸付方法ではなく、WEBサイト・ホームページやSNSなどを介して行う非対面式の貸付方法に移行していると言われています。

そのため、金銭消費貸借契約書や借用書を作成するケースは、少なくなっているようです。


返済義務 は闇金も対象になるの?

闇金は、貸金業登録を行わず、正規の貸金業者から借りることが出来ない人をターゲットに貸し付けを行う非合法の高利貸しです。

正規の貸金業者よりも審査が甘く、比較的簡単に借り入れをすることが出来ますが、1週間で2割、トサン(10日で3割)やトゴ(10日で5割)といった超高金利を取る点が特徴です。


消費者金融とは、消費者信用のうち、無担保で個人への金銭の貸付けを行う貸金業者のことを言います。一昔前は、消費者金融という名称ではなく、サラ金という名称の方が一般的でした。サラ金という名称は、1970年代にサラリーマンを対象にした貸金業者が多かったことから、サラリーマン金融と呼ばれていたことに由来します。

アイフルやプロミスなどの大手消費者金融の年利は最大で18%です。

一方、ヤミ金は、トイチ(10日で1割)の場合でも、年利365%です。

トゴ(10日で5割)の場合は、年利1,825%にも上ります。

※上に挙げたヤミ金の年利は、単利の場合を想定しています。ヤミ金は、複利を採用しているので、実際はさらに法外な金利になります。


ヤミ金の金利を消費者金融と比べた場合、トイチでも20倍、トゴになると100倍以上という恐ろしい数字です。

消費者金融が設定している年率18%でも、十分高いと感じる人が多いようですが、ヤミ金はそれを遙かに越えます。


このような高い金利を支払い続けるのは、現実的ではありません。必ずどこかで支払不能になるはずです。

ヤミ金は、はじめから相手が支払えなくなることを理解した上で貸し付けを行います。

支払えなくなるまで延々と高い利息を取り続け、貸し付けた相手が限界になるまで暴利を貪ります。

そして、被害者の首が回らなくなったタイミングで、銀行口座や携帯電話の譲渡などを持ちかけ、犯罪の片棒を担がせるケースもあります。


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ヤミ金の貸付は公序良俗に反する

ヤミ金の金利は、出資法・利息制限法などの法律(上限金利は年20%まで)に違反するため、刑事罰の対象となります。

このような法律に違反するような高金利は、公序良俗に違反するという見解が一般的です。


民法第90条 公序良俗

公の秩序又は善良の風俗(公序良俗)に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。


民法では、公序良俗に違反する行為を、原則、無効であると定めています。

これが、ヤミ金からの貸付は無効であるという法的根拠となります。

そのため、ヤミ金の金利は返さなくてもよいと考えられています。


公序良俗とは、公の秩序又は善良の風俗の略語です。この公序良俗に反する行為は無効となります。闇金が行う貸し付けや取り立ては、この公序良俗に反する行為であると言えます。

しかし、世の中では「借りたものは返す」という考え方が常識です。

そのため、はじめに借りた元金については、返還するべきであるという意見もあります。


ですが、民法では、「不法の原因のために給付をした者は給付した物の返還を請求できない」と定めています。

これを、不法原因給付と言います。


ヤミ金の貸付は、返せるはずもない不当な高金利で、相手から不当に搾取し続けることを目的としているため、この不法原因給付に該当するとされています。


民法第708条 不法原因給付

不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、不法な原因が受益者についてのみ存したときは、この限りでない。


「ヤミ金の貸付は不法原因給付であるため、返済する必要はない」という話を耳にしたことがある方もいるかもしれませんが、このページでは、その根拠となる「不法原因給付(民法第708条)」について少し掘り下げてみようと思います。

最高裁は、ヤミ金の貸し付けに対して、不法原因給付に該当すると判断しています。


ヤミ金融業者に係る最高裁判決

平成20年6月10日、最高裁判所は、ヤミ金融が高金利で貸し付けに対して判決を下しました。


最高裁判所平成20年6月10日判決の概要

ヤミ金融業者が著しく高利で貸し付けた場合(年利数百%~数千%)、利息分だけでなく、支払った元本・利息の全額を損害として請求することができる。

借主がこのようなヤミ金融業者に対して損害賠償請求を行った場合、損害額から元本分は減額されない。


本件ヤミ金融業者が貸付けとして借主(被害者)に交付した金銭は、不法原因給付に該当するため、本件ヤミ金融業者から借主に対して返還請求することはできない(民法第708条)。


出典:PDF(最高裁判所平成20年6月10日判決の概要)


この判例は、「借主(被害者)は、元本についてもヤミ金融業者に返還する義務がない。」ことをを司法が認めた具体的な実例です。

また、「支払った元本・利息の全額を損害として請求することが出来る。」ということも認めています。


つまり、ヤミ金が要求する超高金利の利息、元本については一切支払う必要はなく、お金を支払ってしまった場合は、その全額を損害賠償として請求することが出来るということです。


ちなみに、この判決は、年利数百%~数千%といった著しい高金利を対象としています。(ヤミ金のトサンやトゴといった高金利は、正にこの判例の対象となります。)

そのため、現時点では、これに満たない利率での貸付けについては、明確な司法判断は示されていません。


まとめ

ヤミ金の超高金利に対する返済義務はなく、支払ったお金も損害として請求することが出来るという根拠は、最上級の司法裁判所である最高裁による判断です。

この判決を理由に、ヤミ金への支払いを拒絶することが出来ますが、個人で対応するのは難しいケースも多いため、専門家の力を借りることも視野に入れることをおすすめします。


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