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クレジットカードの歴史
クレジットカードは、商品を購入する際の決済(支払)手段の一つです。また、契約者の番号その他が記載、記録されたカードです。
「credit」の意味は、後払い、つけ払いのことを指します。 分割払い機能を持つものを、クレジットカード、一回払いのものをチャージカードと呼ぶことがあります。
現在、私達が目にするプラスチック製のクレジットカードが登場したのは1950年代の頃ですが、日本で一般的に普及したのは1960年代以降になります。
クレジットカードはアメリカで誕生

アメリカのクレジットカードは、その前身となるペイメントカードを含めると、ほぼ150年の歴史があります。
19世紀後半に、フランク(Frank)という、紙製の通信、荷物の料金支払いなどのためのペイメントカードが、特定の業種に対して発行され普及しました。
1910年代初頭には、石油会社、タクシー会社などが、紙製のクレジットカードを発行しています。ただし、機能的にはクレジットカードであっても、クレジットカードという呼称が使用されないカードも多かったようです。
現在、使用されているプラスチックカードが普及するのは、1950年代からとなります。
ダイナースクラブ設立

1950年に最初のクレジットカード専業会社「ダイナースクラブ」がアメリカのニューヨーク市で設立されました。
ダイナース創業の動機は、「創業者が食事に出かけた時、財布を忘れて支払いが出来ず、支払い能力があるのに恥ずかしい体験をした。財布を忘れても惨めな思いをしなくていい支払い方式があればいいのに…。」という体験がきっかけだと言われています。
そして、その後、彼は、友人の弁護士とともに、現金を持たなくても支払いが出来る制度を考え出したと伝えられています。
しかし、この逸話は、当時の企業の宣伝であり、あくまでも創作されたフィクションであるという説もあります。
1960年に、日本ダイナースクラブにより、磁気ストライプカードによる現代につながるカードの使用が提案されました。ただし、磁気ストライプはアメリカのIBMが開発したものであるため、厳密には日本発祥ではありません。
その後、アメリカのダイナースクラブや他国のダイナースクラブもこの技術を採用します。
しかし、日本ダイナースクラブが初めて、現在でも使用されているプラスチックカードという形態を発明した訳ではありません。それ以前から、多くのクレジットカードがプラスチック化していました。
むしろ、ダイナースのクレジットカードのプラスチック化は他社に比べて遅れを取っていたといわれています。
アメリカでは、膨大な小切手処理や、高額紙幣の信用が低く使いにくいこと(アメリカでは、100ドル札が偽造される事が多い。)などの理由で、クレジットカードの保持や使用が多いと言われています。
また、信用情報(クレジットヒストリーやクレジットスコア)の構築や、使用者自身の信用を証明する手段としてクレジットカードを所持することが一般的であること、ごく少額の支払いであってもクレジットカードによる支払ができるといったことも普及率が高い理由として挙げられます。
日本におけるクレジットカードの歴史

日本において、先に品物を受け取り、後から代金をツケで支払うという支払い形態は、既に江戸時代の頃は存在していたようです。
また、本格的な分割払いによる販売は、19世紀末に呉服屋丸善が毎月分割による集金で商品販売をしたことが始まりであると言われています。
日本初のクレジットカードは丸井
日本で初めて「クレジット」という言葉を導入したのは株式会社丸井です。丸井はもともと月賦百貨店(割賦販売による月賦払いを中心とする小売店)でした。
1960年代に、株式会社丸井が割賦支払いを「クレジット」という言葉を使用して商品化しました。
しかし、丸井が発行したクレジットカードは、現在のように繰り返し使用できるようなクレジットカードとは異なり、上顧客への月賦払いの完済証明書のようなもので、完済すると発行され、次回の買い物時に回収されました。
また、このクレジットカードは、現在のようなプラスチックカードではなく、磁気ストライプも入っていないただの紙のカードでした。つまり、クレジットカードの名称を使用してはいますが、機能的にはクレジットカードとは程遠いものでした。
日本ダイナースクラブ設立
丸井が「クレジット・カード」を導入した同年には、富士銀行(現・みずほコーポレート銀行)と日本交通公社(現・ジェーシービー (JCB))が日本ダイナースクラブを設立しています。
日本ダイナースクラブは、クレジットカード専門の会社です。そのため、厳密には現行のクレジットカードシステムとは異なる丸井のクレジットカードではなく、日本ダイナースクラブが日本初のクレジットカードであるとする意見も多いようです。
また、同じ年に、高島屋が三和銀行提携の「お買い物カード」(クレジットカード)発行し、「クレジット」という言葉は急速に日本全国に広まりました。
1961年には、三和銀行と日本信販(現・三菱UFJニコス)が日本クレジットビューロー(現・ジェーシービー (JCB))を設立してJCBカードの発行を開始しました。
同年、JCBとほぼ同じ時期に、日本ダイナースクラブがクレジットカードを発行しています。 このように、日本における本格的なクレジットカード事業は、1961年から始まったと言えます。
磁気ストライプカードの登場

クレジットカードがプラスチックカードになり、カードの裏面に磁気ストライプが採用されたのは、1972年になってからのことでした。つまり、それまでは暗証番号等もなかったということです。
現在のようなクレジットカードの姿になったのは、クレジットカードの誕生から22年の年月を要したことになります。
その後、表面のホログラム印刷やICチップといった技術が採用され、現在のようなクレジットカードの姿になります。
ICチップ付きクレジットカードの登場

初めてICチップ付きのクレジットカードが登場したのは1993年です。
当時、クレジットカードは世界的に普及していました。しかし、その反面、偽造カードによる被害が多発していたため、国際ブランドであるEuropay (ユーロペイ)、MasterCard、VISAが共同でICチップ付きのクレジットカードの開発に取り組みます。決済業務を行うためのICカードはこれが世界初となります。
クレジットカードの今後
現在では、電子マネーの普及やオンライン決済が世間に浸透しているため、カードでの支払いは当たり前になっています。
クレジットカード利用に対して安全性の強化、キャッシュレスの利便性、支払い時の効率性の向上など、さらなる改良が果たされた暁には、私達の日常生活におけるクレジットカードの重要性はさらに高まることが予想されます。
このように、今以上にクレジットカードの利便性が向上し普及率が高まれば、近い将来には、完全なキャッシュレスの社会が実現されるかもしれません。
クレジットカード現金化について
クレジットカードは、もちろん法律に基づいて提供されているサービスであるため、違法な闇金ではありません。
しかし、世の中には、クレジットカードの利便性に目をつけたクレジットカード現金化というサービスが存在します。
ショッピングの利用可能枠に余裕あれば、最短即日で現金を手にすることができるというものですが、その危険性をよく理解する必要があります。
クレジットカード現金化の手数料は、利息に換算した場合、ヤミ金とかわらない高金利になる場合がほとんどです。
悪質なものになると、クレジットカードの譲渡を要求するケースもあるため、十分な注意が必要です。
日本クレジット協会は、クレジットカードのショッピング枠を利用した換金行為を認めていません。
換金行為がカード会社にバレた場合は、規約違反として、「残金の一括請求」、「カードの利用停止」、「カードの強制退会」等のペナルティが課せられることもあります。
ショッピング枠の現金化は、思わぬトラブルに繋がる危険性もあるため、安易に利用しないようにしましょう。