ヤミ金の取り立てにみる違法性

ヤミ金の取り立てにみる違法性

取り立てに関する法律

債権者(貸主)は、債務者(借主)の返済が滞った場合、早期の支払いを促す意味で督促や取り立てを行います。


ヤミ金に限らず、金銭の貸し借りで生じる借金の取り立てについては、その方法や時間帯など、法律で詳細にルールが定められています。

そのため、法律を無視した取り立てを行った場合は行政処分や罰則の対象となります。


かつては、消費者金融も過酷な取り立てが問題視されていましたが、現在は貸金業法という法律の施行により、以前のようなトラブルは稀なケースとなっています。


しかし、主に対面方式で貸し付けるヤミ金業者の中には、今もって違法な取り立てを行う者も存在します。

このようなヤミ金業者は、借主と連絡がつかない場合は、直接、自宅や職場へ取り立てを行います。


一方、電話での申し込みやWEBサイト(ホームページ)を開設して顧客を募るタイプ(非対面方式)のヤミ金は、直接的な取り立ては行わず、督促の電話や嫌がらせをするケースが一般的です。


このページでは、取り立てに関する法律の概要や、ヤミ金からの取立て被害に遭った場合の対処法を説明していきます。



取り立て行為の規制

取り立て行為の規制

貸金業者の取り立て行為は、貸金業法という法律で規制されています。

改正貸金業法は、平成18年12月に成立し、平成22年6月18日に完全施行されました。


貸金業法とは、融資を行なう貸金業者や貸金業者からの借入れについて定められている法律です。旧称は「貸金業の規制等に関する法律(貸金業規制法)」でしたが、2006年(平成18年)の改正に伴い現在の名称が用いられるようになりました。近年では、2010年6月18日に改正貸金業法が完全施行されています。

貸金業者の取り立て行為に関する規制については、貸金業法の第21条に記載されています。その条文は、次の通りです。


貸金業法第21条 取立て行為の規制

貸金業を営む者又は貸金業を営む者の貸付けの契約に基づく債権の取立てについて貸金業を営む者その他の者から委託を受けた者は、貸付けの契約に基づく債権の取立てをするに当たつて、人を威迫し、又は次に掲げる言動その他の人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動をしてはならない。


条文にある通り、貸金業者及び委託者が取り立てをする際は、借主を脅したり、日常生活の平穏を侵害するような行為は禁止されています。

大声や乱暴な言動で脅すなどの行為に及んだ場合は、脅迫罪(刑法222条)に問われることになります。

脅迫罪が成立した場合、3年以下の懲役または30万円以下の罰金が課されます。


ヤミ金の取り立て、嫌がらせは、脅迫罪あるいは強要罪に該当する場合があります。脅迫罪とは、簡潔に説明すると相手を脅し恐怖を与える罪になります。ただ単に「お前を殺すぞ」と言っただけでも脅迫罪に該当します。強要罪とは、暴行や脅迫を用いて、相手に義務のないことを行わせる犯罪です。

取り立てをする際の時間帯

貸金業法第21条1号では、取り立てをする際の時間帯について定めています。


貸金業法第21条1号

正当な理由がないのに、社会通念に照らし不適当と認められる時間帯として内閣府令で定める時間帯に、債務者等に電話をかけ、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は債務者等の居宅を訪問すること。


「社会通念に照らし不適当と認められる時間帯として内閣府令で定める時間帯」とは、午後9時から午前8時を指します。

たとえば、あいさつ文の一つに「夜分遅く失礼します。」という決まり文句がありますが、基本的には午後9時以降の時間帯がこれに該当するとされています。


夜間、早朝の取り立ては、日常生活に支障をきたすことになるため、貸金業法により禁止されています。そのため、取り立てが行われる時間帯は、9:00~20:00までの間とされています。


債務者が債権者に協力的な場合の取り立て

貸金業法第21条2号

債務者等が弁済し、又は連絡し、若しくは連絡を受ける時期を申し出た場合において、その申出が社会通念に照らし相当であると認められないことその他の正当な理由がないのに、前号に規定する内閣府令で定める時間帯以外の時間帯に、債務者等に電話をかけ、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は債務者等の居宅を訪問すること。


借主が債権者に協力的な場合(返済をした場合や連絡を受ける時期を伝えた場合など)は、時間帯を問わず、FAX・訪問・電話などの方法で取り立てをすることは禁じられています。

そのため、一般的には、支払いが滞ることが予想される場合は、あらかじめ債権者へ連絡をすることが望ましいと言えます。


ただし、返済遅延の連絡は、正規貸金業者に対しては有効な手段ですが、ヤミ金業者は必ずしもその申し出にすんなりと応じてくれるとは限りません。


勤務先等に対する取り立て

貸金業法第21条3号

正当な理由がないのに、債務者等の勤務先その他の居宅以外の場所に電話をかけ、電報を送達し、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は債務者等の勤務先その他の居宅以外の場所を訪問すること。


債務者の勤務先等に訪問して、返済を要求する行為は禁止されています。勤務先等に取り立てを行い不利益を被らせた場合は、業務妨害罪(刑法第234条)が成立します。

業務妨害罪に問われた場合、罰則として、3年以下の懲役、または50万円以下の罰金が課されます。


業務妨害罪は、刑法第二編第三十五章「信用及び業務に対する罪」に規定される犯罪です。業務妨害罪には、威力業務妨害罪と、偽計業務妨害罪が存在します。ヤミ金業者が勤務先に何度も取り立ての電話や無言電話、悪質な嫌がらせ電話を掛けた場合、それが原因で業務が妨害されたとみなされれば、威力業務妨害罪が成立します。

貸金業法第21条4号

債務者等の居宅又は勤務先その他の債務者等を訪問した場所において、債務者等から当該場所から退去すべき旨の意思を示されたにもかかわらず、当該場所から退去しないこと。


ヤミ金業者が自宅や勤務先の敷地内に侵入した場合は、住居侵入罪が、敷地内から出て行くように要求したにもかかわらず、応じない場合は不退去罪が成立します。

住居侵入罪、不退去罪(刑法第130条)に問われた場合は、罰則として3年以下の懲役、または10万円以下の罰金が課されます。


住居侵入罪とは、正当な理由もなく他人の住居などに侵入した際に成立する犯罪です。ヤミ金の取り立て時に、住んでいる自宅やアパートの敷地から出て行ってくれない場合は、住居侵入罪に問われます。また、家の敷地から出るように言っても従わない場合は、不退去罪となります。

債務者の借り入れの事実を第三者に知らせる取り立て

貸金業法第21条5号

はり紙、立看板その他何らの方法をもつてするを問わず、債務者の借入れに関する事実その他債務者等の私生活に関する事実を債務者等以外の者に明らかにすること。


債務者の私生活を漏洩した場合は、プライバシー権侵害に問われます。また、人の名誉を毀損する行為を行った場合は、名誉毀損罪(刑法第230条)に問われます。

プライバシーの侵害については、罰則は設けられていませんが、他人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役もしくは禁錮又は50万円以下の罰金が課されます。


返済のために資金調達を要求する取り立て

貸金業法第21条6号

債務者等に対し、債務者等以外の者からの金銭の借入れその他これに類する方法により貸付けの契約に基づく債務の弁済資金を調達することを要求すること。


債務者が借金を返せない場合に、他の手段(カードローンやキャッシングなど)でお金を工面するように要求することを禁止しています。

これに違反した者は、強要罪に問われる可能性があります。強要罪の罰則は、3年以下の懲役と定められています。


債務者以外への取り立て

貸金業法第21条7号

債務者等以外の者に対し、債務者等に代わつて債務を弁済することを要求すること。


法律上支払義務の無い者に対して、支払いを強要したり、脅した場合は、強要罪(刑法223条)や脅迫罪(刑法222条)が適用される場合があります。


貸金業法第21条8号

債務者等以外の者が債務者等の居所又は連絡先を知らせることその他の債権の取立てに協力することを拒否している場合において、更に債権の取立てに協力することを要求すること。


債務者以外の者に、協力するように強要、もしくは脅した場合は、同じく強要罪脅迫罪に問われる場合があります。


弁護士・司法書士からの受任通知到着後の取り立て

貸金業法第21条9号

債務者等が、貸付けの契約に基づく債権に係る債務の処理を弁護士若しくは弁護士法人若しくは司法書士若しくは司法書士法人(以下この号において「弁護士等」という。)に委託し、又はその処理のため必要な裁判所における民事事件に関する手続をとり、弁護士等又は裁判所から書面によりその旨の通知があつた場合において、正当な理由がないのに、債務者等に対し、電話をかけ、電報を送達し、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は訪問する方法により、当該債務を弁済することを要求し、これに対し債務者等から直接要求しないよう求められたにもかかわらず、更にこれらの方法で当該債務を弁済することを要求すること。


債務者が弁護士や司法書士に債務整理(任意整理、自己破産など)を依頼すると、委任契約が交わされ、委任状が作成されます。

その後、弁護士・司法書士は、各債権者に対して、債務者から債務整理の委託を受けた旨の通知(受任通知書)を発送します。


この受任通知が到着した段階で、債権者は、債務者に対して取り立てをすることが出来なくなります。受任通知が届いたにもかかわらず、取立て行為を続けた場合は法律に違反します。


ヤミ金業者は、事務所や店舗を構えず、携帯電話だけで営業しているケースが一般的です。

そのため、ヤミ金業者に対しては、書面ではなく電話などの手段で受任した事実を伝えます。


弁護士・司法書士が問題に介入することで、闇金はほとんどのケースで嫌がらせを止めると言われています。


上記の言動を債務者に告げる取り立て

貸金業法第21条10号

債務者等に対し、前各号(第六号を除く。)のいずれかに掲げる言動をすることを告げること。


貸金業法では、貸金業者に対して、取立て時に6号を除く上記の言動を示唆する発言を禁じています。

このような発言は、実際に行動に移さなくても債務者に対する脅しとなるため、法律により行ってはならないと定めています。


出典:elaws.e-gov.go.jp


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違法な取り立てに対する罰則

違法な取り立てに対する罰則

貸金業法が定める規定を無視して、違法な取り立てを行った者は、行政処分、乃至は罰則が課されます。


貸金業法第24条6の4

内閣総理大臣又は都道府県知事は、その登録を受けた貸金業者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該貸金業者に対し登録を取り消し、又は一年以内の期間を定めて、その業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。


国または都道府県は、違法な取り立てを行った貸金業者に対して、1年以内の業務停止を命じることが出来ます。


貸金業法第24条6の5

内閣総理大臣又は都道府県知事は、その登録を受けた貸金業者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、その登録を取り消さなければならない。


出典:elaws.e-gov.go.jp


また、貸金業法では行政処分として、貸金業登録の取り消しという厳しい内容も明記されています。


さらに、違法な取り立てを行った貸金業者に対して、2年以下の懲役、300万円以下の罰金または併科という罰則が設けられています。

この罰則は、貸金業登録の有無にかかわらず適用されるため、ヤミ金業者に対しても罰則が課されます。


まとめ

闇金は、警察に逮捕されることを一番に恐れるため、最近では直接的な取り立てをするケースは減少傾向にあると言われています。

しかし、彼らは、法を破ることにためらいがないため、事態が悪化した場合は面倒なトラブルに発展することもあります。


貸金業者の行き過ぎた取り立てを規制する法律を武器に、違法な取り立てや嫌がらせに対処することが出来ます。

ヤミ金の取り立て・嫌がらせにお悩みの方は、法律を味方にすることで問題の解決を図ることをおすすめします。


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