
SIMカード不正貸与容疑=会社代表逮捕、ヤミ金悪用か-福岡県警
本人確認をせずに携帯電話の通信に必要なSIMカードをヤミ金融業者に貸し出したとして、福岡県警生活経済課などは15日、携帯電話不正利用防止法違反の疑いで、携帯レンタル会社代表の容疑者(46)=東京都文京区関口=を逮捕した。容疑を認めているという。
逮捕容疑は2015年6月30日から同年7月29日ごろ、氏名や住所などの本人確認をしないまま、福岡市のヤミ金融業者に、SIMカード1枚を有償で貸した疑い。
同課によると、菅野容疑者は13年からの約5年間で、約1億3000万円を売り上げていた。大半は本人確認をせず電話注文だけでSIMカードを貸与。うち260回線が全国のヤミ金融業者に悪用されていたほか、一部は偽電話詐欺に使われていたという。
解説
携帯電話事業者は、携帯電話・PHS等を販売する際に、携帯電話不正利用防止法という法律に基づき、契約者の本人確認およびその記録の保存(3年間)が義務付けられています。
携帯電話不正利用防止法
携帯電話不正利用防止法とは、携帯電話やPHS、SIMカードの不正利用(ヤミ金融・振り込め詐欺など)を防止するため、主に携帯電話及びPHS・SIMカード事業者に対して契約や譲渡の手続きを行う際に、契約者の身元確認を義務付ける法律です。2005年、総務省によって制定されました。
契約時の本人確認に際しては、公的な証明書を用いて、氏名・住所・生年月日を確認する必要があります。
公的な証明書には、運転免許証、マイナンバーカード、健康保険証、国民年金手帳、旅券、身体障害者手帳、外国人登録証明書などが該当します。
携帯電話は、振り込め詐欺などの犯罪に利用されやすいため、契約時には本人確認を強化して、携帯電話の匿名性を取り除く必要があります。
事業者が携帯電話の契約時に本人確認を怠った場合は、2年以下の懲役、300万円以下の罰金が課されることになります。
携帯電話不正利用防止法は、事業者だけなく携帯電話契約者本人も対象となります。
本人確認の際に虚偽の申告をしたり、通信事業者の承諾なしに携帯電話・SIMカードの売買、譲渡を行った場合は、50万円以下の罰金の支払い義務を負うことになります。