
資金繰りに困る経営者狙う、出資法違反などの疑いでヤミ金業者逮捕
逮捕されたのは、ヤミ金の経営者の容疑者(42)ら2人で、去年4月から今年1月にかけ、埼玉県に住む設計会社社長の男性(66)らに法定利率のおよそ30倍で現金を貸し付け、違法な利息あわせて140万円を受け取るなどした疑いが持たれています。
警視庁が関係先を家宅捜索したところ、会社経営者14万人分の氏名や電話番号が載った名簿が見つかったということです。警視庁は、2人が資金繰りに困る経営者を狙って金を貸し付け、これまでに1650万円の利益を得ていたとみて調べています。
出典:https://www.mbs.jp/news/zenkokunews/20180712/3419574.shtml
解説
企業の経営者を対象に高金利で事業資金を貸し付ける業態は「事業者金融」「商工ローン」などと呼ばれ、以前から存在します。
基本的に「事業者金融」「商工ローン」の多くは、貸金業登録を行い、出資法の範囲内の金利で貸し付けを行う正規の貸金業者です。
しかし、現実には改正貸金業法の施行以降、事業者金融・商工ローンは不採算などを理由に廃業が相次いでいます。
また、それに伴い貸し出しも減少しているのが実情です。
そのため、正規貸金業者から借り入れが出来ない経営者も増えており、事業用の運転資金を工面するために止むを得ずヤミ金を利用する人も少なくないようです。
このような事情を背景に、近年、事業者向けに違法な貸金行為を行うヤミ金業者の数は、増加傾向にあると言われています。
また、同じく中小零細企業の経営者を中心に利用者を募る「ファクタリング」を騙るヤミ金の横行も問題視されています。
資金繰り悪化で困窮する経営者にとってみれば、高金利を取るヤミ金であっても気軽に金銭を貸与してくれるありがたい存在です。
ヤミ金業者にとっても、会社経営者は大口の顧客であるため、多額の利ざやが稼げる都合のいい存在であると言えます。
このようなタイプのヤミ金は、経営者にとって歪な形での拠り所となっているため、違法貸付に関する問題は表面化しにくいのが現状であり、見えないところで深刻化していると言われています。