
偽造クレカで「買い物→転売」多発 日本がカモの理由は
マレーシア人による偽造クレジットカード使用事件が日本国内で多発している。警察当局は、現地の犯罪組織が人を送り込んでブランド品を大量購入させ、帰国後に転売しているとみている。偽造が難しいICカードでの決済の普及が日本国内で遅れている現状も、背景にありそうだ。
東京・新宿の百貨店で4月6日午後3時半ごろ、マレーシア人の男(27)が約35万円のネックレスを買おうとしていた。提示したのはホログラムがはがれかけた不審なカード。店員がカード会社に問い合わせ、通報を受けた新宿署員が、偽造カードを所持したとして不正電磁的記録カード所持の疑いで逮捕した。
署は翌日も100万円の腕時計などを偽造カードで買おうとしたマレーシア人3人を同容疑で逮捕した。男らは調べに「ヤミ金の借金返済のため、業者から仕事を紹介された」と供述。SNSで指示を受け、購入額の10%を報酬として受け取る予定だったという。
警視庁は昨年、偽造カードが絡む事件に関与したとして計75人を逮捕。国籍別では、前年は0人だったマレーシア人が最多の33人に上った。次いで多かったのが中国人で31人。日本人は7人だった。今年も、7月末までの逮捕者54人のうちマレーシア人は32人で、全体の約6割を占める。
解説
クレジットカードの中には、IC取引を可能にするための「ICチップ」が搭載されているものがあります。
ICカードとは
ICチップ(集積回路・IC)が入ったカード(クレジットカードやキャッシュカード等)のこと。
磁気ストライプを使用したカード(磁気カード)に比べて記録されているデータのセキュリティーが高く、偽造や変造がしにくいという特性を持つ。
ただし、セキュリティに優れる反面、製造コストが高くなる傾向がある。
IC化されたクレジットカードは、従来の磁気ストライプを採用したクレジットカードよりも高いセキュリィを実現しており、不正なカードの偽造を困難にします。
ヨーロッパでは、クレジットカードのIC化を積極的に進めており、既に100%に近い普及率を達成している国もあると言われています。
しかし、日本は、比較的クレジットカードのIC化が遅れていると言われており、2020年の東京オリンピックに向けて未だ普及を進めている段階です。
ICカードの普及は、カード発行事業者だけでなく、商品を販売する店側の決済端末のIC対応が遅れていることがネックになっていると考えられています。
ヤミ金業者は、このような現状につけ込み、一部の顧客に対して偽造カードで商品を購入し、転売した利益で貸し付けたお金を返済するよう仕向けていたと見られています。
クレジットカードの不正利用に関する被害は、年々増加傾向にあります。
最近では、磁気カードのスキミングによる被害よりも、悪質なWEBサイトやメールを利用した「フィッシングサイト」による被害が増えているようです。